GeekFactory

int128.hatenablog.com

家計を支える技術

家庭を支える技術 Advent Calendar 2014 - Adventarの12日目です。

本記事では、我が家の「家計」を支える技術と運用を紹介します。これから同棲を計画しているカップルや家計の見直しを検討している方のお役に立てば幸いです。

独立採算制のメリット

我が家では、夫婦が各自の裁量で収支と資産(貯蓄)を管理するルールにしています。これには以下の3つの目的があります。

まず、利益を最大化するモチベーションが生まれることです。収入から支出を引いた利益がそのまま各自の資産になるというルールにすることで、無駄な支出を抑えて利益を確保するモチベーションが生まれます。もし、資産を合算で管理してしまうと、相手が使った分だけ自分も使わないと損することになります。ただし、これはお互いの信頼関係があって初めて成立するものです。

もう一つは、透明性を確保できることです。収支を各自で管理することで、目の届く範囲で収支をコントロールできるようになります。もし、収支を合算で管理してしまうと、自分が好きに使った費用なのか、本当に生活に必要な費用なのかという区別が分からなくなる問題があります。結果的に「今期はあとどれぐらいお金を使っても大丈夫なのか」といった判断が難しくなります。

最後に一つ。一人暮らしの場合と同じ金銭感覚を維持できることです。一人暮らしから同棲に移行するにあたっては、いきなり家計を統合するより独立採算制を採用する方が混乱が少ないと考えられます。

費用負担の考え方

夫婦は各自で収支を管理します。そこに、共通の収支を加えたものが世帯収支になります。資産も同様です。すなわち、以下の関係が成り立ちます。

  • 世帯収入 = 夫の収入 + 妻の収入 + 共通の収入
  • 世帯支出 = 夫の支出 + 妻の支出 + 共通の支出
  • 世帯利益 = 世帯収入 - 世帯支出
  • 世帯資産 = 夫の資産 + 妻の資産 + 共通の資産

夫婦の収支に著しい差がないことから、共通費用の負担割合は50%としています。たまに炎上案件の影響で収入差が生じることはありますが、そのぶん時間を犠牲にしているわけなので、負担割合は変えないルールとしています。なお、会社の家賃補助は各自の収入ではなく共通の収入と見なします。

家計を支える運用フロー

3行でまとめると、

  • 共通費用はどちらかが立て替えて支払います。
  • 月末に一括して割り勘を行います。
  • 共通費用はGoogle Docsスプレッドシートで管理しています。

1. 支払いの記録

共通費用は、どちらかが立替払いを行った上で、月末に精算を行います。支払時にその場で割り勘を行うことも可能ですが、現金を渡す手間が省くことや支出の記録を残すことを目的として、月末の精算を採用しています。

立替払いの証跡を残すため、お店でレシートをもらうかスマホで金額の写真を撮るようにしています。共通の買い物と各自の買い物が混在する場合は、レシートに赤ペンを入れて金額を訂正しておきます。

2. 月末の精算

月末をメドに精算を行います。といっても平日は時間が取れないため、月初めの日曜日に精算を行うことが多いです。精算に必要な時間は15〜20分です。

精算は以下の手順で行います。

  1. 前回の精算以降に発生した共通費用をスプレッドシートに入力します。
  2. 立替分を相殺して負担金額を算出します(上記例では2,250円)。
  3. キリのいい金額を現金で渡します(上記例では3,000円)。余剰金は繰り越します。
  4. 今月の支出内訳を見ながら振り返りを行います。

スプレッドシートは、以下のようなフォーマットを使っています。「夫」「妻」のところは、実際には名前を書いています。

発生日 区分 内容 金額 夫累積 妻累積
11/10 食費 成城石井 500 -250 -250 0
11/11 光熱 電気 5000 -2500 -250 -2500
11/30 - 月締め 250 250 0 -2250
11/30 - 月締め 3000 0 750

共通費用の区分は以下としています。

  • 住居(賃料、ネット)
  • 光熱(電気、ガス、水道)
  • 食費
  • 生活雑貨
  • などなど・・・(必要になったら追加)

なお、この仕組みは共通費用以外の立替払いでも活用しています。例えば、マルイで服を買う場合はエポスカードで支払うとポイントが付くため、私が立て替えて支払うようにしています。このような場合は、区分を - にすることで共通費用と区別します。

最後に、精算が完了したらレシートをシュレッダーにかけます。

3. 振り返りと計画

このように共通費用を記録していくことで、支出の傾向が見えるようになります。区分ごとの傾向も見えるので、例えば「飲み代を減らす」といった対策を打つことが可能になります。

また、過去の傾向をベースに年間の予算計画や長期的なキャッシュフロー計画を立てることが可能になります。失業した場合や収入が激減した場合に備えて、どれぐらいのお金が必要になるのかを把握しておくことで、今夜も安心して寝ることができます。

4. 定期的な積み立て

結婚式や引っ越しなどのライフイベントで大きな支出が必要になった場合に備えて、共通の資産を継続的に積み立てていく仕組みを導入しています。具体的には、毎月一定の金額を共通の資産に計上します。各自が十分な貯蓄を持っていれば必要ないのですが、万が一の事態に備えて積み立てを行っています。

なお、共通の資産は別の銀行口座で管理しています。現金の移動は遅くとも四半期ごとに行うルールとしています。現金を移動した記録はスプレッドシートに残します。

今後の課題

現状では、夫婦が各自の収入を持っているため、共通費用を精算するだけで均衡が取れるようになっています。しかし、どちらかの収入が著しく減った場合、もしくはどちらかの収入がなくなった場合には、予算配分のスキームが必要となります。

多くの家庭で「小遣い制」が導入されている実情を踏まえると、我が家でも交渉の難航が予想されます。今後、予算スキームの交渉に向けた準備が必要です。