GeekFactory

int128.hatenablog.com

知識集約と労働集約を決定付ける要素

コメントを頂きました。ありがとうございます。

id:katzchang

改めてちょっと伺いたいんですが、知識集約と労働集約を決定付ける要素って一体何なんでしょう?
「今まで人ができなかったことを実現する領域」は知識集約だというのは理解できます。が、例えば医師や弁護士、公認会計士なんかは「今まで人ができなかったことを実現する領域」とは限らないと思いますが、資本集約型にも労働集約型にも分類されない職業のはずです。これらの職業と大規模開発でのエンジニアとの違いはどこにあるのか、よくわかりません。そこがよくわからないからなのか、、「大規模開発が知識集約化するとは到底思えません。エンジニアリングが進むほど、作業はより労働集約的なものになります。」で仰りたいこともわからないのが正直なところです。

http://d.hatena.ne.jp/int128/20080604/1212594222

医師や弁護士、公認会計士といった職業は、基本的に自分で手を動かして判断します。別の言い方をすると、考える人と作業する人が同じです。下請けが診察した報告書を見るだけで(自分は何も見ずに)投薬指示する医者は嫌ですよね。

大規模開発では1つのチームに集まって作業できないため、作業をいくつもの単位に分割します。作業単位が細分化されるほど、エンジニアの仕事は労働集約的になります。自分で判断する能力より、決まった通りに作業することを求められます。ある特定の機能のテストだけを十数年もやっている人もいるほどです。ある意味で専門家と言えますが、幅広い知識を基に判断する能力は身に付かないでしょう。

いま大企業で問題なのは、指示する人と作業する人を明確に分けていることです。指示する人が判断して考えた手順を、作業する人が実行します。この仕組みが上司と部下の関係であった時代は問題ありませんでした。若い頃に経験を積み、ベテランが指揮する。ところが、大企業では作業する人を非正規雇用(協力会社を含む)に切り替えて単価を下げる方向にシフトしています。こうなると、指示する人は判断経験を積めず、作業する人は指示されたことしかできません。教科書に書いていないことは分かりません、という状況になりかねません。

判断する人と手を動かす人が分かれていること。これが労働集約と知識集約を決定付ける要素ではないでしょうか。