海外挙式を支える技術
2012年3月、グアムで結婚式を挙げました。
良かったことや苦労したことを振り返ってみます。これから海外挙式を考えている方のお役に立てれば幸いです。
はじめに
結婚式は立派なプロジェクトです。共同作業をしながら期日までに成果を出さなければなりません。プロジェクトマネジメントの力量によって成果は大きく変わると思います。
奥様はプロダクトオーナーです。結婚式にかける情熱は大きく、多くのことを知っています。ゼクシィでドメイン知識を得て対等に話せるようになるにはかなりのパワーが必要です。
私たちは以下の理由から海外挙式を選びました。
- 新郎新婦ともに上京して地元が離れている。
- 新郎新婦で共通の友人が多い。
- 両親に海外旅行をプレゼントしたい。
海外挙式ではゲストに遠方からお越しいただくことになります。したがって、プロジェクトのスコープは挙式だけでなくツアー全体です。自分たちの結婚式を頑張るだけでなく、ゲストにツアーを楽しんでもらえるよう入念に計画することも重要な仕事です。
結婚式
ウェディングドレスやパーティーオプションの選択肢は国内挙式より少なくなります。気に入ったものがない場合はスーツケースに入れて現地に持ち込む必要があります。私たちの場合、選択肢が少ないから設計が楽になって良かったと思いました。
結婚式の後はレセプションパーティーを開きます。地域によるかもしれませんが、披露宴のようなテンプレは基本的にありません。パーティーの内容は自分たちで考えます。私たちの場合、久しぶりに集まったゲストとゆっくり話す時間を取るようにしました。関係者の希望により両親への手紙やムービーは省略しました。
ツアー
ゲストは自己負担で参加するのが一般的です。事前に費用感を伝えておきましょう。海外旅行に慣れていない人もいれば、赤ちゃんもいるかもしれません。現地の情報を伝えた上で要望を聞くとよいでしょう。
結婚式やパーティーは半日で終わります。残りの滞在期間の過ごし方を考えておきましょう。オプショナルツアーのカタログやガイドブックを事前にゲストに渡すと参考にしてもらえると思います。
打合せ
結婚式の関係者は、旅行会社、プロデュース会社の国内スタッフ、現地スタッフなど多岐に渡ります。基本的には旅行会社の担当の方が窓口になってくれますが、細かいことは直接話して決めることになります。アジェンダや議事メモを使って効率的に打合せを進めました。
- アジェンダ(質問事項)
- 打合せの前日までに前回議事を確認し、質問事項をまとめます。
- 外出する前に二人で確認します。
- 議事メモ
議事メモはこういう感じです。ちょっと恥ずかしい。
スタッフの方には本当にお世話になりました。
情報共有
何といっても直接話すことが大事!対話に勝るものはありません。
議事メモや住所録などのドキュメントはGoogle Docsで共有しました。メールでもらった見積書もGoogle Docsに入れておけばいつでも確認できるので便利ですね。
手作りガイドブック(後述)や写真などの大きなデータは自宅の共有フォルダに入れました。
かんばん
やることの整理に本腰を入れて取り掛かったのは年明けでした。それまでにもマインドマップを書いたりWBSを書いたりしていたのですが、なかなかしっくり来ませんでした。その理由は、結婚式の準備は「決まっている作業」よりも「要件を決めること」がほとんどだからでしょう。
まず、要件を洗い出す作業に取り掛かりました。関心事を付箋に書いて大きな紙に貼っていきました。付箋は共同作業に便利ですよね。その時は、HowではなくWhatを書くように注意しました。だいたい書けたらいくつかに分類し、分類の中で優先順位を付けました。優先順位は期限や影響範囲(困る人)で決めました。
付箋を貼った紙はダイニングの壁に貼りました。いつも見えるところに貼っておいて良かったと思います。ツアーの前日まで付箋は少しずつ増えていきました。あと、完了したものは下半分に移動するようにしました。
私たちは以下のような付箋を書きました。途中で要らないと分かったものは捨てたりしてるので、実際はもっとあるかもしれません。
手作りガイドブック
2月上旬、ツアーの予定を書いた小冊子を制作して配布しました。制作については オープンソースのDTPソフトScribusで始める小冊子の制作 - GeekFactory にまとめています。
ガイドブックには以下の内容を書きました。奥さんが文章を書いて、私がデザインして仕上げました。
- 表紙
- ご挨拶
- 宿泊先
- 日程表(時間や集合場所など)
- 地図
- バス案内
- メンバー紹介
- 結婚式の案内(服装など)
- 旅の案内
- チェックリスト
コスト管理
結婚式に必要な費用は生活費とは分離し、プロジェクト費用に計上するようにしました。具体的には、Google Docsのスプレッドシートに金額と支払者を書いていきます。プロジェクトの終了時に立替分を精算します。
実際に計上したものはざっくりこんな感じです:
- 結婚指輪
- ツアー総費用
- 結婚式小物類
- 旅行用品
- ガイドブック印刷代
- 切手代
- メッセージカード
- エステ
- 交通費(成田空港まで)
- スーツケース
- 現地滞在費用
- 機内で飲んだワインとか
金額はご想像にお任せします。
最後に
究極のウォーターフォールといわれる結婚式をどのようにマネジメントしていくか?私の中でずっと考えていた課題でした。マネジメントの考え方は奥さんと共感できるものがあり、二人で全力で課題に取り組めたと思います。入念な計画のおかげで素敵な思い出を残すことができ、ゲストの皆さまにもとても楽しんでいただけました。
多くの方のおかげで結婚式が実現できたことを最後に書き加えておきます。国内のスタッフ、現地のコーディネーター、スタイリスト、カメラマン、ドライバー、、、挙げていくときりがないぐらいです。
これから海外挙式を考えている方は本稿が参考になりましたら幸いです。