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会計制度がソフトウェアの変化を困難にしているのか?

納品する立場では意識することが少ないですが、システムは機械設備と同様に固定資産となります。私は社内システムの開発に一時期関わっていましたが、システムを勝手に作ることはできず、投資計画に基づいて資産化する手続きが必要になります。システムを勝手に作ったとしても、そのシステムを作った人の給料をどこから支払うかが問題で、他の名目で支払えない以上は資産化する必要が出てきます。

システムの償却期間ごとに更改案件が発生することが多いと思います。これは、一度作ったソフトウェアやハードウェアは一定期間を経ると価値が下がるという考え方に基づいています。ハードウェアに対してソフトウェアは変更が容易なので、一度作ったものを大きく変更しないという考え方は現実に即していないといえます。

ここまで書いたことは教科書的な話で、実際は維持費でやり繰りするとか次期開発に混ぜるとか怪しげな話はたくさんあると思います。特に、ソフトウェア開発は研究開発や保守との区切りが曖昧なので、試験研究費、開発費、維持費を正確に計上するのは難しいです。

ソフトウェアが固定資産である以上、ビジネスプロセスの変化に対応してソフトウェアが変化していくことは困難です。ソフトウェアの大がかりな変更にかかるコストを維持費として計上すると、金額的にも理屈的にも説明がつかないためです。

そういった「考え直し」を拒んでいる最大の理由は、現行システムという「資産」の存在である。償却期間が存在する以上、安易にシステムに手をいれるわけには行かない。結果として、その「資産」となった現行システムの設計に着手した時点における「誤った判断」は放置されたまま、「高い〜 高い〜 高いからコスト下げろ〜」とシステム担当が詰められる。システム担当はGoogleクラウドでコスト削減等と検索して、目先のシステムコスト削減にやっきになる。

こんなところなんだろうね。

クラウドを使えば、データセンターに置く機器を資産化しなくて済むようになる。後はその上で動かすソフトウェア「も」資産ではなくサービスとして使えるようにすれば、上記のような「誤った判断」に対する軌道修正が可能になる。

http://d.hatena.ne.jp/masayang/20100129/1264723519

ここで書かれているように、ソフトウェアを資産化せずに商売に使うことは可能なのでしょうか。クラウド上にソフトウェアを置くだけでは、資産ではないと言い切れない気がします。自前の設備とクラウドの違いを教えてください、偉い人。

商売に使うソフトウェアの大きな変更にかかったコストが費用になればいいのかな。